『若狭敬一のスポ音』
…
若狭アナ:
今日のお便りのテーマは「忘れられない夜」です。
先日、中日ドラゴンズの木下拓哉選手にインタビューする機会がありました。
今年は88試合に出場して、
昨日、2回目の契約更改交渉に臨み、
年俸倍増のおよそ2400万円でサインして、
本当に大活躍だった木下拓哉選手に
「今年、1番記憶に残る試合はどの試合でしたか?」と尋ねました。
すると、
木下拓哉:
11月5日(木)、ナゴヤドームの中日-DeNA、24回戦。
と答えました。
結局、この試合は2-0で中日が勝ちました。
8番キャッチャー、スタメン出場の木下拓哉選手。
なぜ、この試合が記憶に残っているか。
木下拓哉:
前日、寝られなかったから。
なぜか?
2つ大きなことがかかっていたんです。
1つ、この試合に勝つと中日が8年ぶりにAクラスを確定する。
もう1つ、先発する大野雄大投手の最優秀防御率のタイトルがかかっている。
キャッチャーからするとですね、
とにかく先発の大野さんを0点で、無失点で終わらさなければいけない。
そして、それを優先すれば勝利もついてくる。
だからとにかく明日は大野雄大さんを0点でリードしなければいけない。
前日からDeNA打線のデータ見まくり、読みまくり、覚えまくり、
ありとあらゆる場面を想定していたらもう寝られない。
浅い眠りのまま翌日を迎える。
練習をする。
とにかく今日は0点、0点、0点。
究極、ここまで考えたそうです。
木下拓哉:
味方が4点、5点、6点、
ある程度リードを保っていたら、
ランナー3塁になったケースでパスボールをしよう。
防御率というのは自責点が問題ですから、
大野さんが打たれて失った点というのが防御率に響きます。
パスボール、チャッチャーがよくピッチャーが投げたボールをミットに当てて、
ああ捕れませんでした3塁ランナーホームインというシーンがあります。
これはキャッチャーの責任ですから自責点にはならないので、わざとバスボールをしようと。
もう1個考えたそうです。
木下拓哉:
1,3塁になって、
1塁ランナーが盗塁を仕掛けた場合、
自分の盗塁阻止率が悪くなろうが、どうしようが、
2塁に悪送球を放ろう。
すると3塁ランナーがホームイン。
これは大野さんの自責にはならないので、大丈夫。
究極、そこまで考えた。
そして上司に許可を取りに行ったそうです。
中村武志コーチに話を聞くと
中村武志コーチ:
俺は良いと思うが、
伊東ヘッドにも話をしよう。
伊東勤ヘッドコーチのところに行きました。
すると、
伊東勤ヘッドコーチ:
木下、よくそこまで考えたな。
分かった。
と言ってくれたそうです。
これは「やれ」とは言っていないけども、
もしやった場合に「認める」ということだと捉えて試合に臨んだそうです。
結局ですね、大野雄大投手の凄いのは、その日7回無失点で勝利投手。
しかも3塁にランナーを進めていないという(笑)
3塁ベースを踏ませない好投だった。
7回で代わった時に木下拓哉選手はどっと肩の荷が下りて、
スコアボードを見ると、
2-0で2点リードしていたんですが、
本人の言葉を借りると、
木下拓哉:
いやぁ若狭さん、
あの時、僕、ナゴヤドームのスコアボード、
17-0に見えました。
もうそれだけ、「よし!よし!まず1つ大きな仕事をした」ということで安心したそうです。
結局、その後、又吉投手、祖父江投手と完封リレーで2-0で勝利をした。
木下拓哉:
あの日ほど嬉しかった勝利はない。
あれだけ考えて、
あれだけ色々な場面を想定して、
何とか勝利に導いて勝ってよかったという、
忘れられない試合になった。
試合後、1人でシャワーを浴びていた時、
伊東勤ヘッドコーチ:
おい!
木下、ちょっとこっち来い!
と呼ばれたそうです。
伊東勤ヘッドコーチ:
今日はよく頑張った。
素晴らしいリードだった。
本当に勝利に貢献してくれてありがとう。
この2年間、1度も褒められたことがなかった伊東ヘッドに、
その日シャワーを浴びながら褒められた。
本当にキャッチャー冥利に尽きる。
今シーズン、忘れられない夜になったそうです。
いやぁプロ野球のキャッチャー、大変ですね。
…
ドラゴンズ木下拓哉選手 ① ※要約
— ゆうのす (@YS758) December 5, 2020
今年1番記憶に残った試合は、11月5日(木) ナゴヤドームのDeNA戦。スタメン出場し、2対0で勝利。なぜこの試合なのか?
「前日、寝られなかったから」
2つ大きなことが懸かっていた。
・チーム、8年ぶりのAクラス確定
・大野雄大投手、最優秀防御率のタイトル
とにかく大野さんを無失点で終わらせなければいけない。それを優先すれば勝利も付いてくる。前日からDeNA打線のリードを見まくっていた。ありとあらゆる場面を想定していたら寝られない。浅い眠りのまま翌日を迎え、練習と試合へ臨んだ。
— ゆうのす (@YS758) December 5, 2020
CBCr スポ音(若狭アナ)
ドラゴンズ木下拓哉選手 ② ※要約
— ゆうのす (@YS758) December 5, 2020
チームのAクラスと大野雄大投手の最優秀防御率のタイトルが懸かった試合では、とにかくイニング0点をずっと続けなければいけない。
【究極、ここまで考えたこと】
・味方が4~5点とリードを保っていたら、ランナー3塁になったケースでパスボールをする。
防御率は投手が打たれた点が響いてくるが、パスボールは捕手の責任となるので、わざとパスボールをする。
— ゆうのす (@YS758) December 5, 2020
・ランナー1塁 3塁となった場合で1塁ランナーが盗塁を仕掛けた場合、2塁へ悪送球を放る。3塁ランナーはホームインするが、投手の自責にはならない。
これらの許可を上司に取りに行った。
中村武志コーチは、「俺は良いと思うが、伊東ヘッドにも聞こう」と伊東ヘッドの所にも行った。すると伊東ヘッドは…
— ゆうのす (@YS758) December 5, 2020
「木下、よくそこまで考えたなぁ。分かった」
これは、“やれ”とは言ってないが、もしやった場合に認めるということだと捉えて試合に臨んだ。
結局、この日の大野雄大投手は7回無失点で勝利投手。しかも3塁にランナーを進めない好投だった。7回に交代した時には木下拓哉選手はどっと肩の荷が下りて、2対0とリードをしていたが本人の言葉は…
— ゆうのす (@YS758) December 5, 2020
「あの時のナゴヤドームのスコアボード、17対0に見えました」
CBCr スポ音(若狭アナ)
ドラゴンズ木下拓哉選手 ③ ※要約
— ゆうのす (@YS758) December 5, 2020
チームのAクラス確定と大野雄大投手の最優秀防御率のタイトルが掛かった試合では、大野投手が7回0点で交代。先ずは大きな仕事をしたと安心した。その後、又吉投手と祖父江投手の完封リレー、2対0で勝利した。
「あの日ほど嬉しかった勝利は無い」
あれだけ色んな場面を想定して何とか勝利に導いて勝って良かったという忘れられない試合になった。
— ゆうのす (@YS758) December 5, 2020
試合後、シャワーを浴びていると、「おい、木下。ちょっとこっちへ来い」。
伊東ヘッドコーチ「今日は良く頑張った。素晴らしいリードだった。本当に勝利に貢献してくれてありがとう」
この2年間一度も褒められたことのなかった伊東ヘッドにシャワーを浴びながら褒められた。本当にキャッチャー冥利に尽きる。今シーズン忘れられない夜となった。 (了)
— ゆうのす (@YS758) December 5, 2020
CBCr スポ音(若狭アナ)
中日・木下拓哉捕手、他の選手達から『契約保留』をいじられまくっていた
中日・木下拓哉捕手「打率.267だったら、もう少しホームランが欲しかったなと思います」
エースを支えるキャッチャーとして、極限のプレッシャーの中で戦っていたようです。