■2023.06.27 ベースボールチャンネル
今自分ができることに集中する。中日・小笠原慎之介の表情から伝わる「エース」の自覚【工藤公康の眼】
自分自身でコントロールできないことは気にしない
交流戦終了時点で、小笠原投手の成績は4勝5敗、防御率3.04。防御率だけを見れば、もう少し勝ち星が増えていてもよさそうですが、そこは打線との兼ね合いもあり、ピッチャー自身では操作ができないところになります。
ピッチャーとして、「勝ち星が気にならない」と言えば、それはウソになるでしょう。数字として残るものなので、少ないよりは多いほうが当然嬉しいものです。
ただ、勝ち星ばかり追い求めすぎてしまうと、精神的にもあまりよくありません。現役時代、私が心がけていたのは「自分自身でコントロールできないことは気にしない」。イニング数や防御率に、目を向けるようにしていました。味方の得点は、自分ではどうすることもできませんから。
ソフトバンクの監督時代によく伝えていたことですが、ピッチャーがやるべきことは、次の登板に向けて、最善の準備をすることです。序盤で打ち込まれたとしたら、その理由を考え、先発であれば中5日や中6日の間でできるかぎりの改善をはかり、次戦に臨む。長いシーズン、打たれることは必ずあります。打たれたことをずっと引きずっていたら、いい結果を生み出すことはできないでしょう。
特に、チームの柱であり、「エース」と呼ばれるピッチャーには精神的なタフさが求められます。味方が点を取れないときこそ、先制点を取られない。たとえ、状態が悪いときでも、今できることに集中して試合を作っていく。自分がやれることに、どれだけ意識を向けられるか。小笠原投手の表情やふるまいを見ていると、メンタル面からの成長を感じることができます。
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中日・小笠原慎之介投手の「理想」 実は2019年シーズン以降は…
ラウル・バルデス投手「僕の人生でコントロールできるのは勝ち負けじゃない。低めに僕はボールを集めることだけだ」
工藤公康さんが「エース」について言及です。