福留孝介さん「ひとつのボール、ここで仕留めなければいけないボールというのを、仕留めきる差ですね」

■2023.08.23 中日スポーツ

【福留孝介の目】阪神・大山と中日・溝脇、延長10回”満塁の攻防”で明暗「ここで仕留めなければいけない球を仕留めきる差」


　「ひとつのボール、ここで仕留めなければいけないボールというのを、仕留めきる差ですね」 

　大山は延長10回2死満塁で打席に入ると、中日・田島の直球、スプリットのボール球を見極めた。その後、2ボールから3球目の直球は見送り、2ボール1ストライクからの4球目、139キロの沈む速球を左翼線へはじき返して、サヨナラ打とした。一方、中日も10回表の攻撃で2死満塁のチャンスを迎えたが、途中出場の溝脇は2ボールからの3球目をファウルにすると、最終的にはカウント2―2から三ゴロに倒れた。

　「大山はその前のボール（3球目）を打ちにいかなかった。ここで大山は大きいのを打とうと思っていない。そして4球目、ファーストスイングでフィールドの中へ飛ばした。10回表の2死満塁で、2ボールから溝脇（中日）がファウルにしたのとは違った。そこが大山が4番で使われている理由かもしれない。一方の溝脇はずっと試合に出続けているわけではないから難しいとは思う。だが、ここでアウトになったとしても、どういうアウトなのか。このボールならフェアゾーンに入れて、仕留めにいくんだとイメージできているのか。どういう打撃をするのか整理して打席に入れているのかで、大きく変わると思うんです」

　明暗を分けた延長10回。満塁でしかも打者有利なカウント、2ボールになれば、相手投手はもうコーナーぎりぎりを突けない。ストライクを取りに来ざるを得ない。そこで、甘く入ってくる可能性が高い球をどう仕留めてみせるか。福留さんは、そこに竜虎の決定的な力の差を見た。

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