中日・祖父江大輔「僕、イップスなんですよ」「本当にいろいろなことを試してみたんです。でも…」

■2025.09.21 中日スポーツ

「僕、イップスなんですよ」中日・祖父江からの告白に“引退”悟った広島の蒸し暑い夜 彼が10年間隠してきた悩み


　きっかけは2015年8月5日のDeNA戦（ナゴヤドーム）。一塁線のバントを処理し、悪送球した。

　「僕、あれまでは送球も得意だったんですよ。でも打者走者（と一塁）が重なって、引っかけてしまって…」

　失点、2軍降格。コーチには「ちゃんとステップして投げろ」と言われたが「できるだろうと思っていた」。ところがミスを繰り返した。ノックを受け、送球を反復した。技術だけではなく、医学的見地から副交感神経に働きかける治療にも取り組んだ。だが、10年たった今も、克服できなかった。

　「本当にいろいろなことを試してみたんです。でも、失敗が頭によぎるんです。最終的に、僕は『イップスは治らない』と思っています。もう一塁に投げるくらいなら、ホームランの方がマシだ！って思ってましたもん」

　祖父江はどうしたか。バントをさせないことに全力を注いだのだ。

　「そういう状況になれば、僕はスライダーしか投げませんでした。三振（スリーバント失敗）が多かったはずです。転がされても自分でタッチするか、トスできるように早めに捕りにいってました」

　僕はこの告白を正座し、背筋を伸ばして聞いていた。「相手にはバレないようにしていた」という自分の弱み。記者である僕に聞かせるということは、彼が引退を決めたのだと悟ったからだ。

　「治せないなら、うまく付き合っていく。できないことを受け入れて、他でカバーすること。それが僕の結論です」

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