
■2025.09.06 CBCラジオ
『若狭敬一のスポ音』

…
若狭アナ:
「石川昂弥選手、再生の歩みを小池正晃コーチに聞いてみた」。
嬉しいことと、悲しいことが立て続けに起きまして、
ちょっとまだ動揺しているんですが。
石川昂弥選手は9月3日に1軍登録されました。
いきなり即スタメンでした。
ホームラン打ちました。
今シーズン1号でした。
ところが、翌日、あれ?スタメンに出ていないぞ、どういうことか?
左脇腹を試合前に痛めたようで結果、離脱ということで、
う~ん…、感情のこの浮き沈みがファンとしてもかなり激しいんですが、
今日は石川昂弥選手の話をしたいと思います。
2軍にいた2ヶ月半、一体、どういうことをしていたのか、大変興味深かったんですね。
9月3日、水曜日に私はナゴヤ球場に行きました。
「あれ?石川昂弥選手がいないな」ということに気づきますと、
田島慎二2軍ピッチングコーチが、
田島コーチ:
若狭さん、
昂弥は今日から1軍ですよ。
と教えてくれました。
そして田島コーチはポロッと気になることを呟いたんですね、
田島コーチ:
いやぁ、楽しみですね。
昂弥ね、2軍ではね、ほとんどバッティング指導受けていないはずですよ。
と。
ええっ!?
今シーズンの石川昂弥選手は開幕4番スタートでした。
しかし、なかなか打撃が上向かず、4月12日に1軍登録を抹消。
5月31日に再登録されましたが、また6月17日に抹消。
そこから2ヶ月半、2軍生活があって、
やっと9月3日に1軍昇格。
登録前日の9月2日までは7試合連続ヒットを打っていました。
ホームランもありました。
結局、2軍ではですね、トータルで打率.308、ホームラン3本、打点21、
良い成績ですよね。
「一体、この2ヶ月半は何をしていたのか?」
「本当に技術指導がなかったのか?」を小池正晃2軍バッティングコーチに聞きました。
「技術指導をしていないと聞いたんですが、本当ですか?」、
小池コーチ:
はい。
ほぼ、じゃないですよ、全くです。
ノータッチです。
技術に関しては全て、昂弥本人が色々と取り組みました。
と。
「ええっ!?」、
技術指導なしという情報は事実だったんです。
小池コーチとそのあともじっくり話をするとですね、
石川昂弥選手、再生の歩みの原点を知ることができました。
それは6月です。
2軍に落ちた直後に行った面談だったんです。
小池コーチ、そして福田永将コーチの2人がバッティングコーチですから、
この2人と石川昂弥選手の三者面談です。
色々なテーマで話をしたんですが、
最も大事だったのは「今後、どんな選手として生きていきたいか?」でした。
例えばホームランバッターなのか?
アベレージヒッターなのか?
具体的な理想像を、
ここ、とても重要です。
コーチが提示するのではなく石川昂弥選手本人に語ってもらったんです。
みなさんどうですか?
何を期待しますか?
「ホームランを打ってくれよ」、
「4番になってくれよ」、
「監督だったら、どう育てたいですか?」、
「早く1軍でクリーンナップを」、
「それこそ開幕4番をずっと張ってもらうんだ、チームの主軸というものを」!
ワクワクしますよね。
でも周りの理想像と、本人の理想像が一致していなかったらどうでしょう?
「だから、ダメなんだよ昂弥、もっとこうしなきゃ」と批判するのか?
「いやいやいやいや、昂弥くん何を言っているんだ、君はこうあるべきだ」と理想、期待の押し付けをしますか?
その周りの理想と本人の理想の乖離が本人を苦しめているということもあるのではないか。
三者面談で石川選手はゆっくりと口を開きました。
石川昂弥:
正直、僕は打率と打点を残すバッターが理想です。
ホームランを捨てるわけではありませんが、
何が何でもホームランというバッターではありません。
あと僕の長所は右に大きいのを打てることで、
それは失いたくありませんし、
常に試合も練習も右方向を意識することが、
バッティングが良くなる一番のポイントなんです。
と。
小池コーチはうなずきました。
小池コーチ:
いいね、それで行こうよ。
と、背中を押しました。
さらに小池コーチは聞きました。
小池コーチ:
その理想像、
誰に何を言われても今後ぶれない?
石川昂弥選手は答えました。
石川昂弥:
ぶれません。
小池コーチ:
いいね、OK。
じゃあ、その理想に近づくためにやることは分かっている?
引き出しはある?
石川昂弥:
分かってます。
あります。
小池コーチ:
いいね。
じゃあ、もう自由に好きなようにやろうよ。
と。
最後に付け加えました。
小池コーチ:
昂弥、これだけは言っておくね。
地元出身でドラフト1位。
ファンと首脳陣の期待は、とてつもなく大きい。
そこからは絶対に逃げられないからね。
自分の描いた理想の選手になって結果も出そう。
と、これを最後に伝えました。
翌日から本当に放置です。
石川昂弥選手は黙々と練習に取り組みました。
そして独自のルーティンがあったそうです。
特にバットの軌道に関しては常に意識をしていたそうです。
石川昂弥選手はひたすらに理想の選手に近づく努力を続けました。
小池コーチ、
小池コーチ
ほったらかし、放置。
技術指導一切無しなんですが、これだけは続けました。
「会話」です。
と。
「なぜ会話を続けようと思ったんですか?」と聞くと、
小池コーチ:
話しやすい空気作りが大切なんです。
コーチと選手の間に壁はあってはいけません。
他愛もない会話でいいんです。
挨拶から野球と関係のない話。
とにかくコミュニケーションを取って壁を取っ払って、
何でも向こうから話しかけられるような空気作りが大事なんです。
練習中は本当に「昨日、何食べたの?」とか、
昂弥って結構カラオケ好きなんですよ。
だから、「カラオケは何を歌うの?」とか、そんな他愛もない話です。
そのうち昂弥から「今のどうですか?」と野球のことを聞いてくるようにもなりました。
試合中も基本的にはポジティブなモチベーションを上げる言葉ばかりです。
例えばライト前ヒットを打つと、
ベンチに帰ってきたら、
「昂弥、今のバッティング続けたら1軍でも3割だよ」みたいなモチベーションアップの言葉ばかりです。
ただ、もちろんダメな打席の振り返りは2人で反省もしました。
と。
やがて石川昂弥選手に変化が生まれてきます。
「どんな変化があったんですか?」
小池コーチ:
一番は明るさです。
もう2軍に落ちてきた時は暗かったです。
どんよりしてました。
しかし、徐々に徐々に、日に日に表情、声、全てが明るくなりました。
野球としては、
野球の技術としては、はたから見ていて、
アウトでもヒットでも右に良い当たりが飛ぶようになりましたし、
打球に角度がつくようになりました。
本人は右の意識がありますが、レフトにホームランも打ちましたし、
今、本人は狙っていないかもしれませんがホームランが出る状態になってますよ。
と。
技術指導無しで、本人に理想の選手像を語らせて、
本当に放っておいて、やらせて、会話だけは続けて、
何かあったら話が聞けるような体制にする。
これで、どんどんどんどん才能ある石川昂弥という選手は、
自ら取り組み、自ら結果を出し、
自らバッティングの状態も良くなっていったってことなんですね。
【若狭敬一のスポ音】ドラゴンズ石川昂弥選手再生のあゆみを小池正晃コーチに聞いてみた
『若狭敬一のスポ音』

5対2で勝利!石川昂選手の一発!いつもなるべく冷静に試合を見ようとしていますが、ナゴヤ球場で小池二軍打撃コーチから石川昂選手の約2ヶ月半の歩みを聞いていただけに感動です。6月の面談、理想の選手像、ノータッチの指導、モチベアップの会話、表情と打球の変化など詳しくは今週の「スポ音」で!
— 若狭敬一のスポ音 (@cbcspoon1053) September 3, 2025
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若狭アナ:
「石川昂弥選手、再生の歩みを小池正晃コーチに聞いてみた」。
嬉しいことと、悲しいことが立て続けに起きまして、
ちょっとまだ動揺しているんですが。
石川昂弥選手は9月3日に1軍登録されました。
いきなり即スタメンでした。
ホームラン打ちました。
今シーズン1号でした。
ところが、翌日、あれ?スタメンに出ていないぞ、どういうことか?
左脇腹を試合前に痛めたようで結果、離脱ということで、
う~ん…、感情のこの浮き沈みがファンとしてもかなり激しいんですが、
今日は石川昂弥選手の話をしたいと思います。
2軍にいた2ヶ月半、一体、どういうことをしていたのか、大変興味深かったんですね。
9月3日、水曜日に私はナゴヤ球場に行きました。
「あれ?石川昂弥選手がいないな」ということに気づきますと、
田島慎二2軍ピッチングコーチが、
田島コーチ:
若狭さん、
昂弥は今日から1軍ですよ。
と教えてくれました。
そして田島コーチはポロッと気になることを呟いたんですね、
田島コーチ:
いやぁ、楽しみですね。
昂弥ね、2軍ではね、ほとんどバッティング指導受けていないはずですよ。
と。
ええっ!?
今シーズンの石川昂弥選手は開幕4番スタートでした。
しかし、なかなか打撃が上向かず、4月12日に1軍登録を抹消。
5月31日に再登録されましたが、また6月17日に抹消。
そこから2ヶ月半、2軍生活があって、
やっと9月3日に1軍昇格。
登録前日の9月2日までは7試合連続ヒットを打っていました。
ホームランもありました。
結局、2軍ではですね、トータルで打率.308、ホームラン3本、打点21、
良い成績ですよね。
「一体、この2ヶ月半は何をしていたのか?」
「本当に技術指導がなかったのか?」を小池正晃2軍バッティングコーチに聞きました。
「技術指導をしていないと聞いたんですが、本当ですか?」、
小池コーチ:
はい。
ほぼ、じゃないですよ、全くです。
ノータッチです。
技術に関しては全て、昂弥本人が色々と取り組みました。
と。
「ええっ!?」、
技術指導なしという情報は事実だったんです。
小池コーチとそのあともじっくり話をするとですね、
石川昂弥選手、再生の歩みの原点を知ることができました。
それは6月です。
2軍に落ちた直後に行った面談だったんです。
小池コーチ、そして福田永将コーチの2人がバッティングコーチですから、
この2人と石川昂弥選手の三者面談です。
色々なテーマで話をしたんですが、
最も大事だったのは「今後、どんな選手として生きていきたいか?」でした。
例えばホームランバッターなのか?
アベレージヒッターなのか?
具体的な理想像を、
ここ、とても重要です。
コーチが提示するのではなく石川昂弥選手本人に語ってもらったんです。
みなさんどうですか?
何を期待しますか?
「ホームランを打ってくれよ」、
「4番になってくれよ」、
「監督だったら、どう育てたいですか?」、
「早く1軍でクリーンナップを」、
「それこそ開幕4番をずっと張ってもらうんだ、チームの主軸というものを」!
ワクワクしますよね。
でも周りの理想像と、本人の理想像が一致していなかったらどうでしょう?
「だから、ダメなんだよ昂弥、もっとこうしなきゃ」と批判するのか?
「いやいやいやいや、昂弥くん何を言っているんだ、君はこうあるべきだ」と理想、期待の押し付けをしますか?
その周りの理想と本人の理想の乖離が本人を苦しめているということもあるのではないか。
三者面談で石川選手はゆっくりと口を開きました。
石川昂弥:
正直、僕は打率と打点を残すバッターが理想です。
ホームランを捨てるわけではありませんが、
何が何でもホームランというバッターではありません。
あと僕の長所は右に大きいのを打てることで、
それは失いたくありませんし、
常に試合も練習も右方向を意識することが、
バッティングが良くなる一番のポイントなんです。
と。
小池コーチはうなずきました。
小池コーチ:
いいね、それで行こうよ。
と、背中を押しました。
さらに小池コーチは聞きました。
小池コーチ:
その理想像、
誰に何を言われても今後ぶれない?
石川昂弥選手は答えました。
石川昂弥:
ぶれません。
小池コーチ:
いいね、OK。
じゃあ、その理想に近づくためにやることは分かっている?
引き出しはある?
石川昂弥:
分かってます。
あります。
小池コーチ:
いいね。
じゃあ、もう自由に好きなようにやろうよ。
と。
最後に付け加えました。
小池コーチ:
昂弥、これだけは言っておくね。
地元出身でドラフト1位。
ファンと首脳陣の期待は、とてつもなく大きい。
そこからは絶対に逃げられないからね。
自分の描いた理想の選手になって結果も出そう。
と、これを最後に伝えました。
翌日から本当に放置です。
石川昂弥選手は黙々と練習に取り組みました。
そして独自のルーティンがあったそうです。
特にバットの軌道に関しては常に意識をしていたそうです。
石川昂弥選手はひたすらに理想の選手に近づく努力を続けました。
小池コーチ、
小池コーチ
ほったらかし、放置。
技術指導一切無しなんですが、これだけは続けました。
「会話」です。
と。
「なぜ会話を続けようと思ったんですか?」と聞くと、
小池コーチ:
話しやすい空気作りが大切なんです。
コーチと選手の間に壁はあってはいけません。
他愛もない会話でいいんです。
挨拶から野球と関係のない話。
とにかくコミュニケーションを取って壁を取っ払って、
何でも向こうから話しかけられるような空気作りが大事なんです。
練習中は本当に「昨日、何食べたの?」とか、
昂弥って結構カラオケ好きなんですよ。
だから、「カラオケは何を歌うの?」とか、そんな他愛もない話です。
そのうち昂弥から「今のどうですか?」と野球のことを聞いてくるようにもなりました。
試合中も基本的にはポジティブなモチベーションを上げる言葉ばかりです。
例えばライト前ヒットを打つと、
ベンチに帰ってきたら、
「昂弥、今のバッティング続けたら1軍でも3割だよ」みたいなモチベーションアップの言葉ばかりです。
ただ、もちろんダメな打席の振り返りは2人で反省もしました。
と。
やがて石川昂弥選手に変化が生まれてきます。
「どんな変化があったんですか?」
小池コーチ:
一番は明るさです。
もう2軍に落ちてきた時は暗かったです。
どんよりしてました。
しかし、徐々に徐々に、日に日に表情、声、全てが明るくなりました。
野球としては、
野球の技術としては、はたから見ていて、
アウトでもヒットでも右に良い当たりが飛ぶようになりましたし、
打球に角度がつくようになりました。
本人は右の意識がありますが、レフトにホームランも打ちましたし、
今、本人は狙っていないかもしれませんがホームランが出る状態になってますよ。
と。
技術指導無しで、本人に理想の選手像を語らせて、
本当に放っておいて、やらせて、会話だけは続けて、
何かあったら話が聞けるような体制にする。
これで、どんどんどんどん才能ある石川昂弥という選手は、
自ら取り組み、自ら結果を出し、
自らバッティングの状態も良くなっていったってことなんですね。
【若狭敬一のスポ音】ドラゴンズ石川昂弥選手再生のあゆみを小池正晃コーチに聞いてみた
中日・石川昂弥「僕も今までで一番うれしかったかもしれません。なのに…」
失意の中日・石川昂弥を救った上林誠知のさりげない一言
小池コーチが明かしました。