■2021.02.06 CBCラジオ
『若狭敬一のスポ音』
若狭敬一のスポ音 | CBCラジオ | 2021/02/06/土 12:20-14:00
…
若狭アナ:
今日のお便りのテーマは「大事なもの」。
今日はこの時間で中日ドラゴンズ・三好大倫選手のお話をしましょう。
香川・三本松高校からJFE西日本を経まして中日ドラゴンズにドラフト6位で指名されたルーキー、外野手、左投げ左打ち、背番号30番の23歳。
今はルーキーで唯一、北谷球場で1軍キャンプを行っております。
遠投110m、50m5.8秒、走攻守三拍子揃う強打者というプロフィールでした。
ただ彼は高校時代もそうですし、社会人3年目までピッチャーでした。
野手に転向したのが2019年、わずか2年でプロ入りにこぎ着けました。
正直、野手としての目立った実績はないんですよね。
ほぼ全国的には無名の選手でした。
三好選手のところに届いた調査書は中日とオリックスのわずか2球団です。
あとの10球団は見向きもしていないということなんですね。
じゃあなんでこんな無名な選手を中日は獲ったのか。
中国・四国担当のスカウト、野本圭さんに1月の新人合同自主トレが行われていたナゴヤ球場でじっくり話を聞くことができました。
若狭アナ:
私、素人ですから、
野本さん、やっぱり一芸に秀でた選手がプロで活躍すると思っているので、
やっぱり三好選手の肩ですか?
野本スカウト:
肩も良いですよ。
若狭アナ:
遠投は確かプロフィール110mですよね?
野本スカウト:
そうそうそう、110mだもん。
あんなの誰がどこで測っているか分かりませんもん。
若狭アナ:
あぁ、なるほどね。
野本スカウト:
肩だけだと言うと三好よりも良い選手は中日にいますよ。
若狭アナ:
足でしょう!
50m5.8秒は速い!
野本スカウト:
いやだから若狭さん、
誰がどこで測ったか分かんないですよ、そんなもの(笑)
若狭アナ:
あっ、そっか。
野本スカウト:
足だけだったら三好より速い選手は中日にいます。
若狭アナ:
バッティング?
遠くに飛ばすの?
野本スカウト:
飛距離も良いモノ持っていますけれども、
彼より遠くに飛ばす力というのであれば中日にいます。
若狭アナ:
じゃあ何よ!? 何なの?
彼の良いところ、あなたが惚れた部分は何なの!?
野本スカウト:
プロ野球選手にとって1番大事なものを三好は持っています。
僕も中日で10年間現役生活をしていて、
自分がそれを持っていたか持っていないか、できていたかできていないかは置いておいて、
一流選手も見てきましたし、
能力はあるけれども結局それを発揮できないままユニフォームを脱ぐという選手も見てきました。
大きな差があるんです。
その大事なものを三好は持っているんです。
去年はコロナ禍でスカウト活動も大変でした。
結局、ドラフトで取るか取らないかの最終決定権を持っているのは米村明チーフスカウトです。
通常ならば米村明チーフスカウトも全国を回ってその目でしっかりと選手を見て見極めるんですが去年はほぼ担当スカウトに一任されていました。
そして実際に米村チーフスカウトが三好選手を生で見たのも数回だったんです。
野本さんはずっと見ていますから米村さんにJFEの三好選手という選手が「良い良い!」と彼にはプロ野球で活躍するには大事なものがあるんだということをプレゼンしていたんですが、
本当にそれを持っているかどうかっていうのを最終的に決める試合があったんです。
9月28日 広島県 東広島アクアスタジアム 都市対抗2次予選 対倉敷オーシャンズ戦、4番ライトでスタメン出場の三好選手。
当然、本人にも監督にもチームにも「今日が最終試験ですよ」というのは言っていません。
言わば抜き打ち最終オーデションです。
もう野本さん、ハラハラですよ。
今まで自分がプレゼンしていたことが本当にここで発揮できるのかどうなのか。
「頼むぞ三好!隣には上司がいる!今日あなたの人生が変わる日です!」
第2打席、2アウトランナーなし、ここでまさかの左ふくらはぎに強烈なデッドボールを受けました。
「最悪…最終オーデション、このデッドボールで欠場したら三好の人生ここで変わるわ…」
と思っていたら強烈なデットボールだったにも関わらず痛い素振りを見せず1塁に歩きました。
そして3球目に盗塁を仕掛けたんです。
二塁、悠々とセーフ。
「わぁ!走った!」
隣の米村チーフスカウトを見ると「うんうん」と頷いていました。
そして第3打席、初球の甘いストレートを強振しライトポール際へ大飛球、
グングン伸びていきました、ポールのわずか右に風に流され結局ファウルになりました。
横の米村チーフスカウトを見ました。
すると米村チーフスカウトは右手で人差し指と親指で丸を作って、
米村チーフスカウト:
野本、OK、獲ろう。
お前の言っている通りだな。
もしこのまま都市対抗に行かなかったら社会人チームは出さない可能性もあるから、
都市対抗に行かなかったら監督の許可、本人の意志、そして会社の許可をちゃんと取ってこい。
そしてオリックスの動向を最終的にチェックして、
ドラフト当日、何位で指名できるか、ちゃんと順位を会議で言え。
この選手うちは獲るぞ。
お前の言っていた通りだな。
米村チーフスカウトにも伝わりました。
ファウルで人生変わっているんです。
こんなファウルなんて恐らく後にも先にも表に出てこないライトポール際特大ファウルでもう中日はOKを出しました。
若狭アナ:
野本さん、
結局何なんですか、三好が持っている大事なものは!?
野本スカウト:
「勇気」です。
足が速くてもスタートを切る勇気がない選手は沢山いるんです。
俊足で期待されて、そのままユニフォームを脱ぐ選手は沢山いるんです。
彼らにない物は結局、走る勇気なんです。
ファーストストライクを振る勇気、
遠くに飛ばす力のある選手は沢山いるけれども、
結局、振れないとそれは力がないのと一緒なんです。
三好は確かにまだまだこれからの選手かも知れないかもしれませんが、
プロ野球選手にとって1番大事な勇気を持っているんです。
その勇気というのは数字に現れないんです。
プロフィールで誰も書かないんです。
だから僕たちはそれを見極めるために足繁く通うんです。
さぁいよいよ来週からは紅白戦があり、対外試合があります。
三好大倫選手が持っている物、大事なもの、勇気。
走れる勇気、振れる勇気があるかどうか、
私は対外試合の彼の一挙手一投足に注目しています。
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若狭敬一のスポ音 | CBCラジオ | 2021/02/06/土 12:20-14:00
『若狭敬一のスポ音』
若狭敬一のスポ音 | CBCラジオ | 2021/02/06/土 12:20-14:00
12時20分からは「スポ音」をお聞きください。お便りのテーマは「大事なもの」です。ドラゴンズ情報は江田亮アナが担当。15時台のゲストは現役の探偵さん。総合調査事務所ライジングリサーチ代表取締役の新田友紀さんです。そして、柳裕也投手の公約ボードを1名様にプレゼントします! #スポ音 pic.twitter.com/XrFohkdEbn
— 若狭敬一のスポ音 (@cbcspoon1053) February 6, 2021
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若狭アナ:
今日のお便りのテーマは「大事なもの」。
今日はこの時間で中日ドラゴンズ・三好大倫選手のお話をしましょう。
香川・三本松高校からJFE西日本を経まして中日ドラゴンズにドラフト6位で指名されたルーキー、外野手、左投げ左打ち、背番号30番の23歳。
今はルーキーで唯一、北谷球場で1軍キャンプを行っております。
遠投110m、50m5.8秒、走攻守三拍子揃う強打者というプロフィールでした。
ただ彼は高校時代もそうですし、社会人3年目までピッチャーでした。
野手に転向したのが2019年、わずか2年でプロ入りにこぎ着けました。
正直、野手としての目立った実績はないんですよね。
ほぼ全国的には無名の選手でした。
三好選手のところに届いた調査書は中日とオリックスのわずか2球団です。
あとの10球団は見向きもしていないということなんですね。
じゃあなんでこんな無名な選手を中日は獲ったのか。
中国・四国担当のスカウト、野本圭さんに1月の新人合同自主トレが行われていたナゴヤ球場でじっくり話を聞くことができました。
若狭アナ:
私、素人ですから、
野本さん、やっぱり一芸に秀でた選手がプロで活躍すると思っているので、
やっぱり三好選手の肩ですか?
野本スカウト:
肩も良いですよ。
若狭アナ:
遠投は確かプロフィール110mですよね?
野本スカウト:
そうそうそう、110mだもん。
あんなの誰がどこで測っているか分かりませんもん。
若狭アナ:
あぁ、なるほどね。
野本スカウト:
肩だけだと言うと三好よりも良い選手は中日にいますよ。
若狭アナ:
足でしょう!
50m5.8秒は速い!
野本スカウト:
いやだから若狭さん、
誰がどこで測ったか分かんないですよ、そんなもの(笑)
若狭アナ:
あっ、そっか。
野本スカウト:
足だけだったら三好より速い選手は中日にいます。
若狭アナ:
バッティング?
遠くに飛ばすの?
野本スカウト:
飛距離も良いモノ持っていますけれども、
彼より遠くに飛ばす力というのであれば中日にいます。
若狭アナ:
じゃあ何よ!? 何なの?
彼の良いところ、あなたが惚れた部分は何なの!?
野本スカウト:
プロ野球選手にとって1番大事なものを三好は持っています。
僕も中日で10年間現役生活をしていて、
自分がそれを持っていたか持っていないか、できていたかできていないかは置いておいて、
一流選手も見てきましたし、
能力はあるけれども結局それを発揮できないままユニフォームを脱ぐという選手も見てきました。
大きな差があるんです。
その大事なものを三好は持っているんです。
去年はコロナ禍でスカウト活動も大変でした。
結局、ドラフトで取るか取らないかの最終決定権を持っているのは米村明チーフスカウトです。
通常ならば米村明チーフスカウトも全国を回ってその目でしっかりと選手を見て見極めるんですが去年はほぼ担当スカウトに一任されていました。
そして実際に米村チーフスカウトが三好選手を生で見たのも数回だったんです。
野本さんはずっと見ていますから米村さんにJFEの三好選手という選手が「良い良い!」と彼にはプロ野球で活躍するには大事なものがあるんだということをプレゼンしていたんですが、
本当にそれを持っているかどうかっていうのを最終的に決める試合があったんです。
9月28日 広島県 東広島アクアスタジアム 都市対抗2次予選 対倉敷オーシャンズ戦、4番ライトでスタメン出場の三好選手。
当然、本人にも監督にもチームにも「今日が最終試験ですよ」というのは言っていません。
言わば抜き打ち最終オーデションです。
もう野本さん、ハラハラですよ。
今まで自分がプレゼンしていたことが本当にここで発揮できるのかどうなのか。
「頼むぞ三好!隣には上司がいる!今日あなたの人生が変わる日です!」
第2打席、2アウトランナーなし、ここでまさかの左ふくらはぎに強烈なデッドボールを受けました。
「最悪…最終オーデション、このデッドボールで欠場したら三好の人生ここで変わるわ…」
と思っていたら強烈なデットボールだったにも関わらず痛い素振りを見せず1塁に歩きました。
そして3球目に盗塁を仕掛けたんです。
二塁、悠々とセーフ。
「わぁ!走った!」
隣の米村チーフスカウトを見ると「うんうん」と頷いていました。
そして第3打席、初球の甘いストレートを強振しライトポール際へ大飛球、
グングン伸びていきました、ポールのわずか右に風に流され結局ファウルになりました。
横の米村チーフスカウトを見ました。
すると米村チーフスカウトは右手で人差し指と親指で丸を作って、
米村チーフスカウト:
野本、OK、獲ろう。
お前の言っている通りだな。
もしこのまま都市対抗に行かなかったら社会人チームは出さない可能性もあるから、
都市対抗に行かなかったら監督の許可、本人の意志、そして会社の許可をちゃんと取ってこい。
そしてオリックスの動向を最終的にチェックして、
ドラフト当日、何位で指名できるか、ちゃんと順位を会議で言え。
この選手うちは獲るぞ。
お前の言っていた通りだな。
米村チーフスカウトにも伝わりました。
ファウルで人生変わっているんです。
こんなファウルなんて恐らく後にも先にも表に出てこないライトポール際特大ファウルでもう中日はOKを出しました。
若狭アナ:
野本さん、
結局何なんですか、三好が持っている大事なものは!?
野本スカウト:
「勇気」です。
足が速くてもスタートを切る勇気がない選手は沢山いるんです。
俊足で期待されて、そのままユニフォームを脱ぐ選手は沢山いるんです。
彼らにない物は結局、走る勇気なんです。
ファーストストライクを振る勇気、
遠くに飛ばす力のある選手は沢山いるけれども、
結局、振れないとそれは力がないのと一緒なんです。
三好は確かにまだまだこれからの選手かも知れないかもしれませんが、
プロ野球選手にとって1番大事な勇気を持っているんです。
その勇気というのは数字に現れないんです。
プロフィールで誰も書かないんです。
だから僕たちはそれを見極めるために足繁く通うんです。
さぁいよいよ来週からは紅白戦があり、対外試合があります。
三好大倫選手が持っている物、大事なもの、勇気。
走れる勇気、振れる勇気があるかどうか、
私は対外試合の彼の一挙手一投足に注目しています。
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若狭敬一のスポ音 | CBCラジオ | 2021/02/06/土 12:20-14:00
東京五輪の戦力視察中の侍ジャパン・稲葉篤紀監督が中日ドラフト6位・三好大倫選手を大絶賛!「すごく楽しみ」 与田監督「初日からすごくレベルの高いものを見せてもらっている」
中日ドラフト6位・三好大倫選手、本田圭佑さんのモノマネを披露する ドラ5・加藤翼投手「素晴らしいですね」【動画】
勇気という武器も兼ね揃えた三好選手、期待しています…!