森繁和さん、2005年シーズンで「やりくりに苦労した」ことを語る

■2025.11.14 スポーツナビ

リーグ連覇を目指した2005年の落合ドラゴンズ　岡田阪神を猛追するも引き離された要因とは？


やりくりに苦労したリリーフ陣
　阪神は先発に井川と下柳剛がいて、後ろにはJFK（ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之）がいた。打線も一、二番に赤星憲広、鳥谷敬、中軸はアンディ・シーツ、金本知憲、今岡誠（現・真訪）で形成し、下位にも矢野輝弘（現・燿大）が控えて打線も強かった。うちもウッズが入ってよく打つようになっていたから、阪神には結局ピッチャーで負けた感がある。前年は先発がまずはしっかり五回を投げて安定していたのが、この年は立ち上がり、一回り目に打たれることが多かった。先発が早く崩れてもこの年はよく打ったから、負けるにしても完全な負けゲームではなく接戦になることも多かった。そうなると絶対に1点取られてはいけないというイニングが多くなってリリーフ陣の負担も増えた。それが続くとリリーフ陣はきつくなるし、長いシーズンもたなくなってしまう。八、九回までいけば岡本、岩瀬がいるから何とかなるのだけれど、そこまで持って行くのに苦労した。

　リリーフは特に左の枚数が足りていなかった。阪神の金本、広島の前田智徳、巨人の高橋、阿部慎之助、ローズなど、どのチームも必ず左の怖いバッターが一人はいた。彼らクラスになると左のピッチャーを出しても代打は出してこない。そこに左をぶつけて徹底的に潰そうと考えていた。だが高橋が少しずつ良くなって61試合に投げたけれどまだ信頼できるほどではなかったし、小林もアンダースローにさせて1年目でほとんど投げていない。久本と小笠原孝は怪我があったのかあまり投げていなくて、ルーキーの石井にも投げさせたが結構打たれた。それくらい左の中継ぎが質も量もちょっと足りていなかった。また、左殺しで左を出したのはいいけれど、次のバッターが右だったり、左でも右の代打が出てきたりすると、こちらも右のピッチャーに代えるため1イニングで二人使わないといけない展開も多くなる。当然ピッチャーが足らなくなってくる。そんなときは「次の三連戦はちょっとキャッチャー一人外してくれませんか？」と落合さんに頼んでキャッチャーを二人制にしてもらい、その分リリーフの数を増やしてもらったりもしていた。キャッチャーは谷繁という絶対的な存在がしっかり一人いるので、もう一人を何かあったときのためだけにベンチに入れておく。その後ピッチャーを一人落としたら他のキャッチャーをもう1回上げてもらって、またピッチャーを一人増やしたらキャッチャーを一人落とす。苦しい台所をそんなふうにやりくりして凌いでいた時期もあった。

　憲伸も前半戦は10勝3敗と頑張ってくれた。けれど、後半戦は阪神戦に多く投げていたのもあって1勝5敗と調子が上がらなかった。肘、肩が万全ではないため早めに代えたりはしていたので、その結果不安定なリリーフ陣にまた負担がかかるという悪循環もあった。7月、8月は確かによく勝った一方、投手陣がフル稼働だった。その疲れが9月に出たのも、阪神に引き離される要因になったと思う。最終的には首位阪神とのゲーム差10でシーズンを終えた。

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