「中日担当でずっと追っかけることになりました」「そうか。よく調べろよ」　森繁和さん、中里篤史さんについて語る

■2025.11.14 スポーツナビ

リーグ連覇を目指した2005年の落合ドラゴンズ　岡田阪神を猛追するも引き離された要因とは？


息切れした9月
　阪神に首位を明け渡して一時は最大5ゲーム差に開いたが、7月には引き分けを挟んで11連勝するなど食らいつき、9月にゲーム差3で阪神との二連戦を迎えた。初戦は相手エースの井川慶を攻略してゲーム差2に縮めて迎えた第二戦。勝てば勢いに乗れる大事な試合は、9回裏に2点差を追いついてなおもサヨナラのチャンスを迎えたが、ここであと1本が出ず、延長戦で競り負けてゲーム差を詰めることができなかった。阪神にとっては監督の岡田彰布が激昂するような不可解なジャッジが続いて追いつかれた嫌な展開だったのだから、こちらとしては勝ちきりたかった。結果的に阪神にとってリーグ優勝のターニングポイントになった試合だった。落合さんは「今日は監督の差で負けた」とコメントしていたが、こんな大事な試合に負けた後でも落合さんとはほとんど話していない。そもそもシーズン中に改まって話すことはほとんどなかった。ミーティングもシーズン初めとオールスター明けの後半のスタートと、プレーオフとか日本シリーズの前に話すぐらい。ほとんどというくらいやらなかった。阪神に負けてからは、続く巨人戦に3連敗をするなど1勝7敗とズルズルいって息切れした。そうなるとチームの雰囲気も悪くなる。選手達も前年に優勝しているし、立浪や谷繁みたいに経験豊富な選手も多くなっていたから、「もう厳しいな」ということは感じていたと思う。口では「まだまだこれから！」などと言ってくれるけど、やっぱりベテランになると経験があるからもう大体分かってくるものだ。

　そうなると投手コーチの立場としては来年のことを見据えて若い奴らを投げさせたくなる。シーズン終盤の広島戦では怪我から復帰した中里篤史をリリーフで使った。中里は4年ぶりの一軍マウンドでプロ初勝利を挙げ、最終戦には先発で起用した。中里の復帰に期待するファンは本当に多かった。デビューしたときもすごかったというのは聞いていたけれど、私は実際に見てはいないから全盛期のボールを知らない。でもこの年も球速は150キロくらい出ていて素晴らしい回転のボールを投げてはいた。二度ほど肩を故障してしまって「あの頃のボールが戻れば……」とはみんなが言っていたピッチャーだった。落合さんも背番号を18にしたり70にしたりしていたけれど、それだけ期待するものがあったということだと思う。最後は巨人に行ったが、やっぱり肩が治らなかった。引退後は巨人でスコアラーになって、ずっと中日担当だったから試合前にはいつも私のところに来ていた。「中日担当でずっと追っかけることになりました」「そうか。よく調べろよ」そんな会話をいつもしていたことを思い出す。

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中里篤史さんについて語りました。

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