
■2025.03.29 CBCラジオ
『若狭敬一のスポ音』

若狭アナ:
カイル・マラー投手の活躍で今後のドラゴンズは変わる?
大塚晶文巡回コーチとの2日間で築いた信頼関係。
今日はマラー投手の活躍は、今シーズンのドラゴンズの順位を大きく変えるだけでなく、
今後の外国人補強にも良い影響を与えるのではないかというお話です。
2週間ほど前、ナゴヤ球場で大塚コーチにマラー獲得の経緯について話を聞きました。
…
若狭アナ:
このメジャー契約はしているけど、
メジャーとマイナー行ったり来たり。
先ほどメジャー契約は40人と言いましたが、
この40人が毎日毎日ベンチに入って試合に出られるわけではないんです。
このメジャー契約だけども、ベンチに入れない、
いわば2軍選手みたいな選手も沢山いるんですよね。
このメジャーだけども行ったり来たりの選手もいるわけです。
大塚コーチは、
大塚コーチ:
そのクラスの選手は本当に自分に合ったアドバイスを求めている。
球団にいるコーチだけではなくて、
個人が色々な専門家と契約して指導を仰いでる選手が多い。
さすがアメリカ、
自己責任の社会ですよ。
と。
日本だとやっぱりコーチが育成が上手なのかどうなのかっていうことで、
バッティングコーチ、ピッチングコーチ、そういったコーチだけが指導をしている。
選手が上手く育たないとコーチの責任みたいな形になるんですが、
自己責任のアメリカはそんなんじゃないんですね。
コーチもいるにはいるんだけども、
自分に本当にドンピシャで合う指導なんて、
1人のコーチが何十人もいる選手一人ひとりに的確なアドバイスなんかできないだろう。
だから自分で野球外の専門家と契約したり、
やっぱり自分はメンタルが弱い、だからメンタルのトレーナーと契約したり、
もっともっと日本よりも自己責任社会なんですよね。
で、今、NPBの球団としては、
このメジャー契約はしているものの、
メジャーとマイナー行ったり来たりの選手というのが狙い目なんです。
というのもバリバリのメジャーリーガーは金銭的にまず来ません。
大谷、フリーマン、ベッツ、絶対に来ません(笑)
逆にメジャーでの実績が全くない、2Aとか1Aとかの激安外国人、
これ獲得することは簡単かもしれませんが、
彼らが大当たりするのは宝くじ並みに確率が低い、
もしくは大当たりするまでに日本での育成時間がかかる。
ここまでで外国人獲得についての基礎知識をお分かりいただけたでしょうか。
そんな中日が獲得した選手がマラーだったんですね。
彼は2016年アトランタブレーブスに入団。
2021年、9試合に登板2勝4敗、
2022年、3試合に登板1勝1敗、
オフにアスレチックスにトレード。
アスレチックスでは2023年、21試合に登板したものの1勝5敗、
2024年、21試合に登板したものの0勝1敗。
メジャー通算4年で54試合のうち先発は24試合です。
4勝11敗防御率5.90。
もう典型的な、メジャー契約はしているけれどもメジャーに定着できないという「ザ・狙い目」選手なんです。
大塚コーチは実は2021年に既にマラーには目をつけていたそうなんですね。
大塚コーチ:
長身で面白い。
ただ、その後は伸び悩んでいた。
一皮むけると活躍できそう。
と。
縁あって去年のオフに中日ドラゴンズがマラーと契約しました。
今日の話、肝心なのはここからです。
大塚コーチは、
大塚コーチ:
マラーは必死でレベルアップしたいと思っているに違いない。
外国人が日本で活躍できるかどうかは我々との信頼関係が大きい。
ということで、
大塚コーチは去年のオフに渡米しているんです。
2日間だけマラーの自主トレ先を訪れているんです。
大塚コーチはマラーの良い時と悪い時の映像分析はもちろん、
2日間で課題を克服をできる練習メニューを作って直接、会ってるんです。
マラーとのマンツーマンでの練習風景を動画に撮っていたので見せてもらったんですが、
まぁ超地味な練習ばかりです。
これ、マラーの表情が面白くて最初は半信半疑なんですよ。
「この練習は一体何の役に立つんだ…?」「というか、あなた誰…?」みたいな顔をしているんです。
そりゃぁそうですよね。
中日ドラゴンズという球団の大塚というコーチが来ました。
なんか僕のことについて色々調べてくれている。
なんか練習メニュー、ドリルを製作している。
僕もわらをもすがる思いだから、レベルアップしたいから、
ひょっとしたら、誰だかよく分からない大塚コーチの指導が合うかもしれないから「じゃあ2日ならやってみるわ」みたいな感じなんですよね。
で、2日間やりました。
2日目、全てのドリルが終わったあとブルペンに入りました。
見違える球がいくようになっているんです。
マラー:
大塚さん、
あなたは私が4年間悩んでいたことを、たった2日で解決してくれた。
心から感謝している。
と。
このたった2日間の秘密で濃密な練習こそが2人の信頼関係を構築したんです。
だから沖縄キャンプ、これを見に行った方もいると思いますが、
マラーは全体練習終了後、
ブルペンで個別練習を大塚コーチとマンツーマンで取り組んでいたんです。
僕もその映像を名古屋で見ていて、
マラー、えらい大塚コーチ信頼してるなと思っていたら、
何のなんの、この密かに渡米した2日間のマンツーマン練習でつちかった信頼関係があるからなんですね。
日本の野球は非常に今アメリカでは評価が上がっているんです。
だからこそ、もちろんマラーも日本でやりたいと思った。
そして日本のコーチの言うことを聞いている。
大塚コーチはこうも言いました。
大塚コーチ:
選手だけではなくて、
今、エージェントが日本に物凄く選手を売り込んでいます。
日本に行きたい選手リストが僕の手元にバンバン送られてきます。
これは、まさにメジャーに定着しきれない選手、
NPBで言うところのザ・狙い目選手、
エージェント的には日本に送り込みたい選手のリストがバンバン送られてくる。
で、エージェントからすれば、
アメリカで泣かず飛ばずの選手を一旦、日本に送り込んで一流に仕上げてもらって、
またアメリカで高く売れば儲かりますから。
と大塚コーチは言いました。
これは、もう「ザ・ビジネス」ですよね。
大塚コーチ:
ただ、このエージェントと仲良くすることが、とても大切だ。
と、大塚コーチは力説します。
大塚コーチ:
直接、アメリカで選手を見ることも大切ですが、
広いアメリカでごまんといる選手を全て見るのは無理。
だから僕は複数のエージェントと密な関係になって、
良い選手を紹介してもらうようにしています。
エージェントも必死ですから映像やデータは豊富に送られてきます。
あとは金額とかポジションとか、
こちらの球団、つまりドラゴンズの都合と照らし合わせて、
選手を選んでいきます。
と。
これはマラーにしたら、
例えばですね、4年間、
いや、私も結構痛いんですけど腰が悪かったとしましょうよ。
その腰を、とある整体師がたった2日で治してくれたら、その人信じますよね。
信頼感が半端ないですよね。
で、腰が治って仕事も趣味もバンバンできたらハッピーな日々が送れるわけです。
で、それが口コミで広がるとその整体師は絶対人気になるわけです。
したがって選手はもちろんエージェントにとっても、
どうも中日に行くと、中日に選手を送り込むと、指導者が優秀なのでレベルが上がる。
すると選手にとっては、とってもハッピーだし、
エージェントにとってはよしよしまた高く売れるぞと。
マラーの活躍は今シーズンのドラゴンズの順位を変えるだけでなく、
また良い選手がドラゴンズに入ってくる可能性もアップするかもしれないということなんですね。
どうも横浜3連戦では投げないみたいなんですが、
さあマラーがいよいよ名古屋でベールを脱ぎます。
そして今後どのような活躍をするのか、
「やっぱり送り込むなら中日が良くない?」ってなると、
結構、苦しんでいたこれまでのドラゴンズの外国人補強、上手くいく可能性ありということなんですね。
そして最後ちょろっと付け加えると、
これはピッチングコーチのままなら、ここまで外国人補強に力を注げない。
これ、実は井上監督の密かなファインプレー、
巡回コーチというコーチに大塚さんをしているがゆえに、
色々な外国人補強にも注力できる今、システムになってるのも大きいです。
『若狭敬一のスポ音』

若狭アナ:
カイル・マラー投手の活躍で今後のドラゴンズは変わる?
大塚晶文巡回コーチとの2日間で築いた信頼関係。
今日はマラー投手の活躍は、今シーズンのドラゴンズの順位を大きく変えるだけでなく、
今後の外国人補強にも良い影響を与えるのではないかというお話です。
2週間ほど前、ナゴヤ球場で大塚コーチにマラー獲得の経緯について話を聞きました。
…
若狭アナ:
このメジャー契約はしているけど、
メジャーとマイナー行ったり来たり。
先ほどメジャー契約は40人と言いましたが、
この40人が毎日毎日ベンチに入って試合に出られるわけではないんです。
このメジャー契約だけども、ベンチに入れない、
いわば2軍選手みたいな選手も沢山いるんですよね。
このメジャーだけども行ったり来たりの選手もいるわけです。
大塚コーチは、
大塚コーチ:
そのクラスの選手は本当に自分に合ったアドバイスを求めている。
球団にいるコーチだけではなくて、
個人が色々な専門家と契約して指導を仰いでる選手が多い。
さすがアメリカ、
自己責任の社会ですよ。
と。
日本だとやっぱりコーチが育成が上手なのかどうなのかっていうことで、
バッティングコーチ、ピッチングコーチ、そういったコーチだけが指導をしている。
選手が上手く育たないとコーチの責任みたいな形になるんですが、
自己責任のアメリカはそんなんじゃないんですね。
コーチもいるにはいるんだけども、
自分に本当にドンピシャで合う指導なんて、
1人のコーチが何十人もいる選手一人ひとりに的確なアドバイスなんかできないだろう。
だから自分で野球外の専門家と契約したり、
やっぱり自分はメンタルが弱い、だからメンタルのトレーナーと契約したり、
もっともっと日本よりも自己責任社会なんですよね。
で、今、NPBの球団としては、
このメジャー契約はしているものの、
メジャーとマイナー行ったり来たりの選手というのが狙い目なんです。
というのもバリバリのメジャーリーガーは金銭的にまず来ません。
大谷、フリーマン、ベッツ、絶対に来ません(笑)
逆にメジャーでの実績が全くない、2Aとか1Aとかの激安外国人、
これ獲得することは簡単かもしれませんが、
彼らが大当たりするのは宝くじ並みに確率が低い、
もしくは大当たりするまでに日本での育成時間がかかる。
ここまでで外国人獲得についての基礎知識をお分かりいただけたでしょうか。
そんな中日が獲得した選手がマラーだったんですね。
彼は2016年アトランタブレーブスに入団。
2021年、9試合に登板2勝4敗、
2022年、3試合に登板1勝1敗、
オフにアスレチックスにトレード。
アスレチックスでは2023年、21試合に登板したものの1勝5敗、
2024年、21試合に登板したものの0勝1敗。
メジャー通算4年で54試合のうち先発は24試合です。
4勝11敗防御率5.90。
もう典型的な、メジャー契約はしているけれどもメジャーに定着できないという「ザ・狙い目」選手なんです。
大塚コーチは実は2021年に既にマラーには目をつけていたそうなんですね。
大塚コーチ:
長身で面白い。
ただ、その後は伸び悩んでいた。
一皮むけると活躍できそう。
と。
縁あって去年のオフに中日ドラゴンズがマラーと契約しました。
今日の話、肝心なのはここからです。
大塚コーチは、
大塚コーチ:
マラーは必死でレベルアップしたいと思っているに違いない。
外国人が日本で活躍できるかどうかは我々との信頼関係が大きい。
ということで、
大塚コーチは去年のオフに渡米しているんです。
2日間だけマラーの自主トレ先を訪れているんです。
大塚コーチはマラーの良い時と悪い時の映像分析はもちろん、
2日間で課題を克服をできる練習メニューを作って直接、会ってるんです。
マラーとのマンツーマンでの練習風景を動画に撮っていたので見せてもらったんですが、
まぁ超地味な練習ばかりです。
これ、マラーの表情が面白くて最初は半信半疑なんですよ。
「この練習は一体何の役に立つんだ…?」「というか、あなた誰…?」みたいな顔をしているんです。
そりゃぁそうですよね。
中日ドラゴンズという球団の大塚というコーチが来ました。
なんか僕のことについて色々調べてくれている。
なんか練習メニュー、ドリルを製作している。
僕もわらをもすがる思いだから、レベルアップしたいから、
ひょっとしたら、誰だかよく分からない大塚コーチの指導が合うかもしれないから「じゃあ2日ならやってみるわ」みたいな感じなんですよね。
で、2日間やりました。
2日目、全てのドリルが終わったあとブルペンに入りました。
見違える球がいくようになっているんです。
マラー:
大塚さん、
あなたは私が4年間悩んでいたことを、たった2日で解決してくれた。
心から感謝している。
と。
このたった2日間の秘密で濃密な練習こそが2人の信頼関係を構築したんです。
だから沖縄キャンプ、これを見に行った方もいると思いますが、
マラーは全体練習終了後、
ブルペンで個別練習を大塚コーチとマンツーマンで取り組んでいたんです。
僕もその映像を名古屋で見ていて、
マラー、えらい大塚コーチ信頼してるなと思っていたら、
何のなんの、この密かに渡米した2日間のマンツーマン練習でつちかった信頼関係があるからなんですね。
日本の野球は非常に今アメリカでは評価が上がっているんです。
だからこそ、もちろんマラーも日本でやりたいと思った。
そして日本のコーチの言うことを聞いている。
大塚コーチはこうも言いました。
大塚コーチ:
選手だけではなくて、
今、エージェントが日本に物凄く選手を売り込んでいます。
日本に行きたい選手リストが僕の手元にバンバン送られてきます。
これは、まさにメジャーに定着しきれない選手、
NPBで言うところのザ・狙い目選手、
エージェント的には日本に送り込みたい選手のリストがバンバン送られてくる。
で、エージェントからすれば、
アメリカで泣かず飛ばずの選手を一旦、日本に送り込んで一流に仕上げてもらって、
またアメリカで高く売れば儲かりますから。
と大塚コーチは言いました。
これは、もう「ザ・ビジネス」ですよね。
大塚コーチ:
ただ、このエージェントと仲良くすることが、とても大切だ。
と、大塚コーチは力説します。
大塚コーチ:
直接、アメリカで選手を見ることも大切ですが、
広いアメリカでごまんといる選手を全て見るのは無理。
だから僕は複数のエージェントと密な関係になって、
良い選手を紹介してもらうようにしています。
エージェントも必死ですから映像やデータは豊富に送られてきます。
あとは金額とかポジションとか、
こちらの球団、つまりドラゴンズの都合と照らし合わせて、
選手を選んでいきます。
と。
これはマラーにしたら、
例えばですね、4年間、
いや、私も結構痛いんですけど腰が悪かったとしましょうよ。
その腰を、とある整体師がたった2日で治してくれたら、その人信じますよね。
信頼感が半端ないですよね。
で、腰が治って仕事も趣味もバンバンできたらハッピーな日々が送れるわけです。
で、それが口コミで広がるとその整体師は絶対人気になるわけです。
したがって選手はもちろんエージェントにとっても、
どうも中日に行くと、中日に選手を送り込むと、指導者が優秀なのでレベルが上がる。
すると選手にとっては、とってもハッピーだし、
エージェントにとってはよしよしまた高く売れるぞと。
マラーの活躍は今シーズンのドラゴンズの順位を変えるだけでなく、
また良い選手がドラゴンズに入ってくる可能性もアップするかもしれないということなんですね。
どうも横浜3連戦では投げないみたいなんですが、
さあマラーがいよいよ名古屋でベールを脱ぎます。
そして今後どのような活躍をするのか、
「やっぱり送り込むなら中日が良くない?」ってなると、
結構、苦しんでいたこれまでのドラゴンズの外国人補強、上手くいく可能性ありということなんですね。
そして最後ちょろっと付け加えると、
これはピッチングコーチのままなら、ここまで外国人補強に力を注げない。
これ、実は井上監督の密かなファインプレー、
巡回コーチというコーチに大塚さんをしているがゆえに、
色々な外国人補強にも注力できる今、システムになってるのも大きいです。
中日新助っ人・マラーのブルペン投球 → 大塚晶文コーチの英語での指導の様子【動画】
中日・大塚晶文コーチが「すごくフォームも安定感あるし、体重移動もうまい、リリースもバッターの近いところで投げられているし、コントロールもいいし、キレもある。期待できますね」と絶賛する中日投手
マラー投手の秘話です。