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社会人野球時代のレジェンド・岩瀬仁紀さんに「バットは握るな」と厳命した人物が…

岩瀬仁紀
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■2025.01.18 中日スポーツ





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野手採用だったのに「バット握るな」と厳命…“投手・岩瀬”の生みの親『鬼亀』NTT東海で待っていた運命の出会い
社会人野球時代のレジェンド・岩瀬仁紀さんに「バットは握るな」と厳命した人物が…

 岩瀬仁紀さんが「鬼亀」と呼ぶ人がいる。中日の亀卦川(きけがわ)正範トレーナー。ヒゲにメガネがトレードマークのこの人が、投手・岩瀬生みの親なのだ。

 出会いは1996年夏。愛大4年の岩瀬さんは、亀卦川さんがトレーナーを務めていたNTT東海野球部の練習に参加した。就活である。「いい打者が入ってくる」と聞いた。当時の岩瀬さんは本人の意識も打者。ただ、投手不足のチームでは投手も兼務しており、この日も「ちょっと投げてみるか」となった。

 亀卦川さんは隠れてスピードガンで計測した。本人いわく「おったまげました」。ひょろひょろの左腕の球は「ストレートいきます」と言いながら、鋭くスライドし、140キロを超えていた。直感でこう思った。「基礎体力をつければ投手としてプロに行ける」。亀卦川さんは前年までの5年間も中日に在籍しており、全盛期の山本昌や今中慎二を見ていた。

 「コントロールのいい投手は自分の目で見ていましたが、当時の岩瀬はそれとは違う強烈なインパクトがありました

 しかし、大難問があった。部の方針は「野手として採用する」。限られた人員で活動する野球部で、打者・岩瀬は確実に即戦力となるからだ。まだ入社もしていない青年の扱いを巡って一触即発。亀卦川さんだけが「絶対に投手!」と言い張った。監督、コーチを向こうに回し「あんたら、彼の野球人生をぶっ壊す気か」とたんかを切って「そこまで言うなら2年間だけ」と押し切った。

 投手としては素人同然。亀卦川さんは「バットは握るな」と厳命した。逃げ道をふさぎ「今ならあり得ない」過酷なトレーニングメニューを課した。少しでも手を抜けば、遠くからでも怒鳴りつけた。だから「鬼亀」。岩瀬さんは苦笑交じりに振り返る。「何度も辞めようと思った。投手じゃなく野球を」。1年目はほぼ陸上部。その成果は2年目に出た。野手だったはずの青年は、瞬く間にドラフト上位候補に躍り出た。

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